エリート御曹司は獣でした
ゴールデンウィークの中ほどであるため、新千歳空港は混雑しており、到着口を出て通路を歩いていた私は、前から来た人にぶつかりそうになる。

すると久瀬さんが私の腰を引き寄せるようにして、衝突を避けてくれた。

「気をつけて」と爽やかに微笑む彼に、頬が熱くなる。


どうしよう……照れくさくて、にやけてしまいそう。

初っ端からこんなに胸が高鳴って、私の心臓が帰るまで持つだろうかと心配になる。


空港のターミナルビルから直結のJRの駅に移動し、快速エアポートに乗車しておよそ四十分。

札幌駅に到着する。

そこから地下鉄に乗り換え、小百合さんの自宅がある最寄駅で下車した。


久瀬さんが母親から小百合さんの連絡先を聞いて電話したところ、懐かしがってぜひ会いに来てほしいと喜んでくれたそうだ。

小百合さんは女の子を半年ほど前に出産したそうで、『出産のお祝いを……』という名目での訪問である。

赤ちゃんがいるため場所は自宅がいいというので、教えてもらった住所に向かっていた。


地下鉄の出口から地上に出れば、澄み渡る水色の空が広がり、東京よりも日差しは柔らかく、実に過ごしやすい気候である。

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