エリート御曹司は獣でした
「小百合さん、お久しぶりです。本日は都合をつけてくれて、ありがとうございます」と久瀬さんが挨拶し、「こちらは相田奈々子さん。社の後輩です」と私を紹介してくれた。

私は緊張しながら、頭を下げる。


「久瀬さんにお世話になっています。今日は一緒についてきてしまいまして、すみません」


すると彼女はウフフと笑う。


「奈々子さん、歓迎するわ。隆広くんは大人になったのね。丁寧な挨拶をされるとおかしな感じがするわ。どうかあの頃と同じようにしていて。さあ、ふたりとも、どうぞ中へ」


大理石張りの玄関は広々として、プリザーブドフラワーの素敵なオブジェが壁に飾られている。

なぜかマーライオンの石膏像や、外国の民芸品のような置物も並んでいて、それらに視線を止めていると、小百合さんが説明してくれる。


「主人が観光に関わる事業を展開しているの。海外に行けば、もらったり買ったりして帰るから、飾る場所に困るわ。北海道のリゾート開発もしているのよ。今日はあいにく仕事で不在なの。紹介したかったけど、ごめんなさいね」


ということは、どうやら小百合さんは社長夫人らしい。

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