エリート御曹司は獣でした
「隆広くんと奈々子さんはーー」


小百合さんは私たちの馴れ初めや、どんなデートをしているのかなどに興味があるようで、楽しそうな顔をして質問を重ねる。

ポン酢変身体質の治療が取り持つ偽恋人だとは言えないため、「特にこれといったキッカケはなく、自然の流れで……」と久瀬さんがごまかした返事をしている。

私は「そうなんです」などと時々口を挟みながら、久瀬さんの横顔を覗き見て、ハラハラしていた。


心なしか、久瀬さんの頬は赤い。

やっぱり授乳しているのだと思えばケープの中が気になるだろうし、頭の中にはあの出来事も蘇っているのではないだろうか。

別荘の洗面脱衣室で見てしまった、十七歳の小百合さんの裸を……。


その時、電話のベルが鳴り響いた。

それは携帯ではなく、ドア横の電話台の上にある固定電話だ。

「あら大変」と言った小百合さんは、授乳しながら電話に出るつもりのようである。

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