エリート御曹司は獣でした
「変な妄想している場合じゃないよ。久瀬さんが戻ってきたら、ポン酢変身体質が治っているかどうか、確かめるんだから」


変身体質が治ったとしたら、楽しかった偽恋人関係は終了である。

事業部のみんなの前で、嘘の恋人宣言をされた時、私は彼に偽恋人関係の期限はいつまでかと尋ねた。

すると彼は、『俺がポン酢を克服するまで』と答えたのだ。


誠実な彼なので、変身してしまううちは本物の恋人を作れないと言っていた。

交際相手以外の女性を口説いてしまい、恋人の心を傷つける恐れがあるからだ。

だからこの旅行は、久瀬さんに深く関わる最後の機会になるかもしれず、並んだ布団に照れてばかりもいられない。


彼を長年苦しめてきた変身体質が治ればいいと心から願っているけれど、偽恋人関係が終了して、ただの後輩社員に戻るのは寂しいな……。


高揚したりへこんだりと、心を忙しくさせていたら、座卓の上で私のスマホが鳴り響いた。

考え込んでいたため、「わっ!」と声をあげて驚いた私は、慌てて本間に戻ってスマホを手に取る。

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