エリート御曹司は獣でした
画面を見ると、電話をかけてきたのは兄で、私は眉を寄せた。


なんの用事?

もしかして、かける相手を間違えているのだろうか……。


二歳上の兄と私は、ふたり兄妹で仲は悪い。

埼玉の田舎の方に両親が暮らす実家があるのだが、兄も同居しているため、なるべく帰らないようにしている。

なぜ仲が悪いのかといえば、小さい頃から食卓において、激しい肉の奪い合いをしてきたからである。


子供の頃の二歳差は大きく、ある日は兄にトンカツをひと切れ攫われ、またある日にはハンバーグを半分も奪われて、どんなに悔しかったことか。

すき焼きをした時には、『お前はネギでも食ってろ』と、私の皿に勝手にネギをポイポイ放り込み、自分は牛肉を独り占めする。

そんな兄には、嫌悪感しか抱けない。


向こうは向こうで、私のことを邪魔だと思っていそうである。

母がおやつにビーフジャーキーをひと袋買ってくると、きっちりグラム数まで計って半分に分け、私たちにくれるから、『年齢も体格も俺の方が上なのに、なんで同じ量なんだよ!』と中学生の時の兄は憤っていたっけ。

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