エリート御曹司は獣でした
それで、「ごめん。今日はちょっと用事があるんだ」と断れば、不満げな声を返された。


《えー、なんの用事? 会わせたい男友達は、すっごくいい奴なんだよ。無理にでもおいでよ。これを逃したら、一生彼氏ができないよ》


一生できないとは……どうしてそう思うのかと私の眉間に皺が寄る。

元よりなんでも言い合える関係の香織だが、酔っているため今日はいつもより毒舌であるようだ。

笑って流せずムッとしてしまうのは、兄と父からかかってきた電話の腹立たしさを、まだ引きずっているからだろう。


みんなして、私がモテないと決めつけて……。

確かにその通りなんだけど、ちょっと言い方を考えてよね!


座卓をドンと叩いた私は、怒りに任せて言ってしまう。


「私、今、旅行中なの。男性と」

《えっ……嘘?》

「なんで香織まで信じてくれないのよ。久瀬さんとふたりで温泉旅館にいるの。北海道だからそっちに行くの無理だし、紹介もいらないよ。じゃあね!」

《久瀬さんと!? 奈々子、ちょっと待っーー》

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