エリート御曹司は獣でした
私の耳に温かな風が流れる。

久瀬さんが、息を吹きかけてきたのだ。

ゾクリとして「あっ」と甘く呻いてしまったが、流されてはいけないと気持ちを立て直し、「しりとりしましょう!」と提案した。


「負けた方は、勝った方のお願いをひとつ聞くんです。どうですか?」


条件を付けたのは、彼をやる気にさせるためである。

それに対し、「いいぞ」と即答してもらえたのだが……「俺が勝ったら、俺の好きなように抱かせろ。お前が勝ったら、お前が望むように抱いてやる」と性欲全開に言われてしまった。

恥ずかしさに顔を火照らせた私は、「そんなお願いはしません」と拒否してから、しりとりをスタートさせた。


「お寿司、から始めましょう。“し”から始まる言葉を考えてください。ゆっくりでいいですよ」


しりとりは単純なゲームだから、なかなか終わらないものである。

決着のつかない言葉遊びを三分間続ければ、自然と変身が解けるはずで、私を襲っている暇はないだろう。

咄嗟に考えたにしては、なかなかいいアイディアのような気がしていた。
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