エリート御曹司は獣でした
熱っぽく潤んだ瞳に、気怠げに吐き出される甘い吐息。

ペロリと下唇を舐めた彼は、「次は“す”か?」と問いかけてニヤリとした。


「好きだ、奈々子。お前が欲しい」


久瀬さん、その言葉は、正気の時に言ってほしいです……。


憧れの彼に初めて下の名前で呼ばれ、告白までされたけど、心に広がるのは喜びではなく虚しさだ。

抑えられない性欲が言わせただけの、気持ちのこもらない言葉だとわかっているからである。

それなのに、苦しいほどに胸が高鳴るのは、どうしてなのか。

ああ、流されてみたくなる……。


彼の胸を押していた両腕から力を抜けば、簡単に距離を詰められ、唇を奪われてしまった。

唇をこじ開けるようにして潜り込んできた舌先が、私の舌に絡みつく。

「んっ……」と漏れる、自分の甘い声が恥ずかしい。

激しいキスで私を骨抜きにしようとする彼は、ふらついた私の腰を左腕で支え、右手はお尻から下へと下りていった。

膝丈のタイトスカートを捲られる。

ストッキングの上から太ももを、なまめかしく撫でられ、くすぐったさと快感を同時に味わっていた。


久瀬さんを止めなければと焦る気持ちと、憧れの彼に求められている喜びが、心の中で拮抗する。

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