エリート御曹司は獣でした
そんな女の願望を独り言のように漏らした綾乃さんに、私は箸を止めて「あれ……?」と口を挟んだ。
綾乃さんは、彼氏持ちだったはず。
今も右手の薬指に彼氏からの誕生日プレゼントだという指輪をはめているけれど、もしかして別れたのかな……?
恐る恐るそれを尋ねれば、ふんわりと微笑んだ彼女に「ううん、続いてるわよ」と否定された。
「私の彼はいい人だけど、久瀬さんの方が素敵だもの。万が一、交際を求められたら、すぐ乗り換える」
「えっ……」
「見た目だけじゃなく、爽やかで誠実な性格も好き。こっちは緊張して身構えちゃうけど、気さくに声をかけてくれるし、そんなところもいいわよね。なにより、社内一の出世株。久瀬さんは御曹司よ。その将来性はよだれものだわ」
ペロリと唇を舐めた彼女に、私はツッコミを入れずにはいられない。
「綾乃さん、その現金な性格と、おっとり癒し系で欲がなさそうな見た目のギャップが激しすぎます……」
一年先輩である彼女に、歯に衣着せぬ言い方ができるのは、仲がいいからである。
そして、綾乃さんの彼氏には悪いとは思うけれど、相手が久瀬さんなら、乗り換えると言われてしまうのも無理はないと感じていた。
綾乃さんは、彼氏持ちだったはず。
今も右手の薬指に彼氏からの誕生日プレゼントだという指輪をはめているけれど、もしかして別れたのかな……?
恐る恐るそれを尋ねれば、ふんわりと微笑んだ彼女に「ううん、続いてるわよ」と否定された。
「私の彼はいい人だけど、久瀬さんの方が素敵だもの。万が一、交際を求められたら、すぐ乗り換える」
「えっ……」
「見た目だけじゃなく、爽やかで誠実な性格も好き。こっちは緊張して身構えちゃうけど、気さくに声をかけてくれるし、そんなところもいいわよね。なにより、社内一の出世株。久瀬さんは御曹司よ。その将来性はよだれものだわ」
ペロリと唇を舐めた彼女に、私はツッコミを入れずにはいられない。
「綾乃さん、その現金な性格と、おっとり癒し系で欲がなさそうな見た目のギャップが激しすぎます……」
一年先輩である彼女に、歯に衣着せぬ言い方ができるのは、仲がいいからである。
そして、綾乃さんの彼氏には悪いとは思うけれど、相手が久瀬さんなら、乗り換えると言われてしまうのも無理はないと感じていた。