オジサンに恋しちゃダメですか
「瀬田?」

「あっ、はい。座るんですね。はい。」

私は近くの椅子を持って来て、課長の隣に座った。

ああ、課長の匂いがする。

これは香水?

いい匂いで、クラクラしてくる。


「パワーポイント開くと、こういう風に出てくるから。俺が送る資料、張り付けて……」

パソコンの画面に、課長の指が重なる。

色気のある指。

これが、大人の男性の色香か。

「で、例えばこんな風に、コメント入れて。」


【俺に見とれてんじゃないぞ、奈津菜。】


私は、目が点になった。

「こんな感じ、分かった?」

「は、は、はい。」

慌ててdeleteのボタンを押す、課長の指に、くすぐったさを覚えた。

「できたら、教えて。」

「はい。」

椅子から立ち上がっても、くすぐったさは消えず、課長の顔を見ないようにするだけで、精一杯だった。
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