ずっと・・・



「オレが相手だと知られていると、ここに来るまでに誰かに捕まるかもしれないから」


やっぱり、自分の状況を分かっているんだ。

確かに、相手が彼だということは知られている。

でも、若い子は門脇佑介という名前と顔が一致しないみたいだ。

本社に1番のイケメンがいるのは知っているけど、それが門脇佑介という名前だということは知らないみたいだった。

だから、今はまだ無事に来れる。

先輩にいいねと言われるぐらいだ。


「さてと、とりあえずこれが今日回るリストね。アポは取ってあるから、時間通りに行ければいいけど」

「え?あ、ごめんなさい。何もしなくて……」

「そんなの全然いいよ。有紗は営業初めてだろ?少しずつ出来るようになればいいから」

「はい……え?」

「ん?何かあった?」

「え……イヤ……」


普通の会話の中でしらっと言われたから、思わず流しそうになった。

聞き返したつもりだけど、聞き返すことは許されないのか。

それとも、彼の中ではなんともないことなのか。




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