ずっと・・・
「もちろん、リストの社名は知っているよな?」
「あ、はい。見たことはあります」
「書類とかは見てるもんな。まずは、場所を覚えて。有紗が1人で行くことはないけど、場所が分からないと何も始まらない」
「はい……」
「あと、相手の顔は覚えて。覚えるのが苦手なら、名刺の裏とかに特徴を書いておけばいい。それと、メモ取りは必須」
彼が言うことを頷きながら聞くけど、やっぱり違和感がある。
この人、5年も逢わなかったのに、今でも私を名前で呼んでいる。
彼自身は、何の疑問も持たずに。
別に、誰かに聞かれている訳じゃないからいいけど。
イヤ、よくないか。
今は何の関係もないのだから。
でも……そんな些細なことでも嬉しいと感じてしまう私は、結局何年経っても変わってないな。
そんなことを実感しながらも、彼について会社を回った。
少し心配していた車内だけど、彼が気を遣って話してくれた。
ちゃんと仕事の話しだった。