結婚前夜
彼女の趣味は分からないけれど、折角なら非日常的な場所で会ってみたい。
彼女の事が知りたい。

そう思い、お見合いの日取りを伝えて、休日の朝からイングリッシュガーデンが綺麗だと評判の博物館に彼女を呼び出した。

仲人である部長達は居ない。
人事部長は同席したかったらしいが、総務部長に若い人だけでと窘められ、二人だけだ。

でも一体何を話せばいいのだろう。

会社では顔を合わせた事はあるものの、個人的な話なんてした事はない。

それでも、彼女が入社して来た時に見た笑顔に一目惚れだった俺は、この機会を逃したら今後チャンスなんて訪れないだろうと必死だった。

本当は、彼女に一目惚れをした時にアタックしようと試みたけれど、彼女には学生時代から付き合っている彼氏がいると聞き、俺の想いはぶつかる前に無残にも砕け散った。

そうして俺も、それならばと彼女を諦めるために何人かと付き合ってみたりもした。
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