結婚前夜
カフェの窓際の席は、丁度建物の壁になる様に設計されているので、眩しくもなく暑くもなく、丁度いい。

テラス席もあり、気候が良い時はそちらの席で食事をするのも気持ち良さそうだ。

暑さであまり食欲のなさそうな彼女は冷製パスタを、俺はカレーを注文すると、座席に沈黙が流れた。

そもそも、彼女とまともに会話をした事がないから、何を話せばいいのかわからないし、お見合いと言う特別イベントだ。緊張しているに決まっている。

何か気の利いた事でも話す事が出来たら、また空気も変わるだろうけど、ずっと好きだった彼女を目の前にすると、何を話せばいいのか分からなかった。

ガラス越しに見えるイングリッシュガーデンを見つめる彼女の横顔を見つめるしか出来ない。

庭園には、通期に渡って薔薇の花が咲いているので、きっと暑さにも強い品種なのだろう。

綺麗に選定されている庭の植栽に、ベンチや噴水、計算された配置を見ていると、暑いけど彼女と一緒に散策したい。

デートらしい事をしたい。
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