結婚前夜
ぼんやりと外の景色を眺めて妄想をしている彼女に、声をかけてみた。

「良かったら、後で外に出てみないか?」

俺の声に驚き、彼女は現実の世界に帰って来た。
ビクッと彼女の肩が動いて、俺に視線を向けるその仕草に、無性に煽られる。

出来るだけ、感情を顔に表さない様に気を付けた。

「…驚かせてすまない。
今日はここに来てくれてありがとう」

でも、彼女と視線が絡まると、頬が心なしかうっすらと色付いていく。

そんな俺の言葉に、彼女は俯きながら、首を縦に振り、肯定の意思を示した。

またしばらくの間、テーブルに沈黙が流れたけれど、それを破ったのはカフェの店員だ。

「お待たせ致しました。ご注文の品でございます」

にこやかな笑顔を振りまいて、テーブルの上にそれぞれが注文した品をセットすると、颯爽と去って行った。

何だかお互い気まずいままだけど、一先ず目の前に用意された食事をお互い黙々と食べていた。
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