上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
電車を降りて駅を出たところでいつもの声が私を呼ぶ。
「亜子おはよう!」
振り向くと少し後ろから雅が駆け寄ってきた。
「おはよう雅」
私も笑顔で答えて一緒に会社へ向かう。
ビルのエントランスを抜けてエレベーターホールへ向かっている時に後ろから「おはよう」と声をかけられて一瞬ドクンと心臓が鳴った。
「課長、おはようございます」
「おはようございます」
振り向いた先には結城課長が立っていて私たちは挨拶を返した。
「長谷川、ちょっと藤井を借りたいんだがいいか?」
「はい。でも朝なので泣かさないならいいですけど」
「ち、ちょっと雅!」
不機嫌そうな顔で私たちを見下ろしている結城課長を雅は軽く睨んで念押しするように言うと、彼は一瞬驚いた顔を見せた後フッと笑って見せた。
「大丈夫、泣かせる事はしない」
「……ちゃんと約束してしてくださいね」
「あぁ、約束する」
雅は結城課長と話し終えた後、私に笑顔を見せて先にオフィスへ向かって行った。
エントランスは色んな人の出入りで朝は特にごちゃごちゃしている。
なんだか色んな人が私たちを見ている気がして私は思わず俯いてしまいそれを見た結城課長は話し出した。
「話がしたい。亜子のいい日になるべく合わせる」
「2日間勝手なことをしてすみませんでした。私はいつでも大丈夫です。結城課長に合わせます」
「なら今夜。夜ここに迎えに来る」
「え? それはダメです!」
今まで付き合っていた事を散々隠してきたのだから、何もこんな時に目立ちたくないという思いがおもわず口に出てしまった。