上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


夕方エントランスにいる俺に気づかず向かおうとする亜子を呼び止め手を掴んで一緒にビルを出た。

社内恋愛が禁止でない以上隠す必要はない。
完全に桐生の言葉に踊らされてる感があるが元々亜子が社内で人気なのは知っていたし、俺たちの事を公にして亜子に手を出すやつらを牽制する意味もあった。



タクシーに乗って馴染みの焼き鳥屋で食べてる時に亜子が俺を “ 結城課長 ” と呼んでる事に気付き一気に気持ちが落ちる。
俺はガキか!

前々から思ってはいたが俺の気持ちは伝わっていないのだろう。
もともと仕事最優先で亜子のことは放ったらかしにしていたし、真奈美といるところも見られているとなればある意味自業自得というものだ。

俺は亜子に話したいことがある、と改めて伝えると急に様子がおかしくなった様に見えたが正直に話せば伝わるはずだ。
食事を切り上げるとタクシーを拾い家までの道のりを最短で着く様に教える。

隣を見ると亜子は窓の外を眺めている。
結んでる髪の隙間から見える頸が抑えてる衝動を突き動かすかのように誘って見える。

これじゃただのサルだろ?
俺は意識を別の事に集中させる為に背もたれに思い切り寄りかかった。

マンションの手前で降りて亜子の手を取り並んで歩いていると階段に座ったまま真奈美が泣いていた。

真奈美は酔っていてまともに歩けないでいる。このぶんじゃ相当飲んだな。
智史が今日話すと言ったのを思い出して大体のことが想像できた。

俺としては一刻も早く亜子と話したいのだが真奈美を放っておくこともできず、先に部屋で待っててくれと亜子に部屋の鍵を渡した。

とりあえず入り口付近は見た感じ良くないことから千鳥足の真奈美を奥の公園へ連れて行く。

ベンチに真奈美座らせた後、智史に大至急迎えに来いとラインで催促する。
真奈美はしっかりと座ることもできずに斜めに傾いたままボソボソと喋っている。







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