上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※

相当飲んだんだな。
まぁ、無理もないか。
倒れそうなほど傾いて座っている真奈美の隣に座り智史が来るのを待つ事にした。

「私振られちゃった。アメリカに行くって」

「……あぁ、聞いた」

真奈美は俺の胸にうずくまって泣きじゃくる。

「こんなに好きなのに……お願い。側にいて……」

「離れるわけないだろ」

真奈美の背中を撫でながら亜子の事が脳裏に浮かぶが今は動くことができない。

「ちゃんと話し合え。上手くいく」

こんな時、気の利く言葉の一つや二つ言えるといいのだが、俺自身もいっぱいいっぱいでなんて声をかければいいのか悩む。

15分後、智史が迎えに来てはじめこそ手こずったが最後は真奈美も素直になり一緒に帰って行った。

智史の車を見送った後急いでエントランスに入ると、コンシェルジュが俺を呼び止め亜子に渡したはずの鍵を持ってきた。

部屋に戻り亜子に電話をするが当然出るわけもなく俺はしばらく立ち尽くしたままでいた。



次の日の夕方、とにかく会って話をしようとマンションから少し離れたコインパーキングに車を止めて待っていると亜子が向かい側の道を歩いて帰ってきた。

急いで車から飛び出し前を歩く亜子を呼び止めると驚いた様子で俺を振り切ってマンションへ入ってしまった。
完全に避けられてるな……。


それでも諦めず、翌朝会社のエントランスで亜子を捕まえた。
こんなストーカーまがいなことして自分でも引いてしまうが今はそんな事どうでもいい。

亜子は今夜ここで待ち合わせる事を嫌がっているみたいだったがそこは半ば無理矢理納得させて亜子と別れた。

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