上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「私を覚えているかな………。」
止めていた思いが苦しすぎて、思わず口から出ると同時に涙がとめどなく流れていく。
「私……本当の子供じゃないからお母さん私のこと覚えてるのかな…………」
血の繋がりのない私は忘れられたら何も残らない……。
「亜子、母さんはきっと大丈夫だよ。それに亜子を忘れるわけないだろう。母さんはね、亜子がうちにきてから本当の娘として育ててきたんだ。もちろん父さんもだけど、母さんにしてみれば涼太も亜子大切な子供なんだよ。必ず覚えているさ」
お父さんは泣いている私の頭を子供の時みたいに優しく撫でてくれた。
それから少ししてお父さんは入院の手続きに必要な物を取りに家に戻った。
私は少し気分を変えようと病室を出て中庭のベンチに座った。
今まで神さまなんて信じたことなかった。そんなものにお願いしたって叶わないものは叶わない。それでも今私ができることはきっとそれしかないんだ。
お母さんを助けてください‼︎
目を閉じて精一杯の気持ちを込めて祈る。
上を向くと太陽の日差しがすでに眩しくて目が開けてられない。
「亜子……」
不意に名前を呼ばれて後ろを振り返ると結城課長が立っていた。
私の隣に座る結城課長を見てまだお礼を言ってなかったことを思い出す。
「あのう、昨日はありがとうございました」
「具合は大丈夫なのか?」
「はい、私は大丈夫です」
「そうか」
何故だろう?
今日の結城課長いつもと違う気がする。