上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


夕飯を食べ終えた後、お父さんはお風呂に入り涼太は私と後片付けを手伝ってくれた。

「亜子、仕事は大丈夫なのか?」

涼太はテーブルの上を綺麗にした後椅子に座って、洗い物をしている私に話しかける。

「うん、一緒にチーム組んでる人たちがやってくれてると思う」

「そうか。亜子、もしも母さんに何かしら後遺症が残ったとしても亜子は自分のやりたいことをしろよ。東京に戻ってもいいんだぞ」

「涼太……」

本当は目をそむけたくなることだけど涼太の言うことは現実的だ。

「誤解するなよ、俺たち家族からしてみれば亜子が側にいてくれたらこんなに助かることはないんだ。だけどオフクロのせいで亜子の人生を犠牲にするのは間違ってる。それに亜子を連れてきてくれた上司のこともあるだろ?」

「え? 涼太何言って……」

結城課長のことは何も話していないはずなのに。
戸惑う私に涼太は徐々に笑いはじめる。

「亜子は分かりやすいからな! ったく、何年兄妹やってると思ってるんだよ」

「え、そ、そんなに分かりやすい?」

「まぁ、そこが亜子の良いところだ。で、前は泣いてたこともあったがどうなんだ?」

涼太の言う泣いてたこととは、結城課長と矢野さんが一緒にいたのを見た時のことをいっているのだろう。

あの時のことも矢野さんという女性のことも結局何一つ分からないままだ。
結城課長が言う話とはきっとそのことも含まれているのだと思うけど、すぐに話せる内容じゃないことからそう単純なことではないのだろう。

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