上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
翌朝は普段より30分早めに起きてみんなの朝ご飯を作る。
お父さんと涼太は昔から朝は白米を食べるのが習慣で、私とお母さんはパン食だった。
白米となるとそれなりにおかずも必要なわけで、冷凍庫にあった鮭の切り身を焼いて厚焼き玉子とお味噌汁を作って用意する。
お父さんは仕事のことはしばらく涼太に任せて、お母さんの付き添いを私と一緒にすることにした。
涼太だって本当はお母さんの側にいたいはずなのに、そんなこと少しも思わせないような態度で気丈に振る舞って出勤して行く。
家事をひと通り済ませた後お父さんの運転で病院へ向かう。
病室のお母さんはまだ意識が戻らないままでいる。
「母さん昨日より顔色いい気がするな」
お父さんが言うように私もそう思った。
大丈夫。少しずつ良くなってる。
私は半分自分に言い聞かせるように頷いた。
お昼はお父さんと病院内にあるレストランで済ませた後、早めに病室へ戻ると涼太がいた。
「涼太来てたのか」
「あぁ、予定のお客様との話が早めに終わったから寄ってみたんだ」
涼太はお昼ご飯を家に帰って食べることが多いようだけど、今日みたいにお客様と会う時は外で済ませているらしい。
「オフクロどう? 顔色は良さそうだな」
お母さんの顔を見て、どこかホッとした表情の涼太はやっぱり心配してるんだと思う。
あたりまえだよね。