上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


それから数日後、お母さんの容態は安定していて普通病棟へ移動した。
手に少しの痺れがあるものの、それも日に日に回復しているようで今のところ心配していた後遺症もなく徐々に元気になってきている。

病院の午前中は看護師さんが体温などを測りに来たり、先生の回診やリハビリに行ったりとバタバタしてるので、私は午前中に家事全般と夕飯の下ごしらえを済まし午後からお母さんへ会いに行っている。


家にいても特に何もすることもないから、お母さんの元でインテリアのデザインを学ぶのが毎日の日課。

私はあえて鉛筆で描いたノートを持ってお母さんに教えてもらいながら手直ししてまた見てもらってということを繰り返していた。



入院して1ヶ月とちょっと経った頃にお母さんは無事退院することができた。
しばらくは経過観察の為、定期的に通院が必要だけど藤井家は以前の生活に戻りつつある。


私はというと、今も東京に帰らず実家で生活していた。
お母さんはまだ完全に体力が戻ったわけではないけれど、ほぼ入院する前と変わらない生活をできるようになっている。


家族はみんな私に気を使って東京へ帰ってもいいよと言ってくれるけど、何でもやってしまうお母さんの性格的に私がいなくなったら無理をしてしまうのではないかと心配で帰れずにいた。



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