上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「俺はずっと好きな人がいたまま亜子と付き合っていたんだ。亜子も見たことがあると思う」
「……矢野さんですか?」
あれから半年も経ってるのに自分の口からすんなり彼女の名前が出たことに驚いてしまう。
「あぁ、矢野真奈美っていって俺の親友と付き合ってる。名前知ってたんだな」
「オフィスで話題でしたから……」
「そうだったのか、知らなかったな。それにしても人の名前までバレちまうなんて世の中怖いな」
苦笑いした後、尊さんはそのまま話を続けた。
「亜子のことは初めは成り行きだった。ずっと真奈美を好きで諦めきれないままだった」
尊さんの正直な気持ちを聞いて胸がズキンと痛む。
「だけど、いつだったか桜の花を見にいった時泣いてるのを見て、俺は亜子のこと何も知らないと気づいたんだ。もっと亜子を知りたいと思うようになった」
桜の花を見て泣いた日。
あの頃家族のことも尊さんへの想いも自分に蓋をして一番辛かった頃だ。
私の目から一筋の涙が頬を伝った。
「いつのまにか亜子を好きになっていた」
ずっと尊さんの目を見て話を聞いていたけど涙が止まらなくて俯いてしまう。
尊さんは両手で私の顔を包み込み目を合わせると優しい顔をして言った。
「亜子がほしい」
こくんと頷くと抱きしめられて私たちはそのままキスをした。長いキスはやがて深く荒くなり、私の口内に侵入してくる。息があがりはじめた頃、尊さんは私を立たせ抱き上げた。
「ち、ちょっと尊さん?」
お姫様抱っこされたままベッドルームに連れていかれキングサイズのベッドの上にゆっくりと降ろされる。