ヴァンパイア夜曲
彼は「一言余計だ」と不機嫌そうに低く唸り、息を吐く。
白い吐息に目を細めていると、シドは静かに呟いた。
「お前、ねえさまって呼ばれてんだな。あのチビたち、みんな家族なのか?」
会話を振られ、一瞬戸惑う。
一匹狼のような雰囲気の彼は必要以上にコミュニケーションを取らないだろうと思っていたが、どうやら私には警戒を解いてくれたらしい。
「ここにいる子たちには血の繋がりはないの。みんな、修道院に預けられたり、マーゴットに拾われた孤児だから」
「お前も?」
「もちろん。私は、10年前からここにいるの」
そう。
ここにいるのは、皆幼い頃に家族と離れ離れになった子どもたち。
母親のように育ててくれたマーゴットは、修道院の院長であると同時に私たちの保護者でもある。血縁関係なんかなくても、ここに住む者は皆家族同然だ。
シスターとしてここに置いてくれていることを不幸だと思ったことはない。