ヴァンパイア夜曲
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「…チッ。…なんで俺達は別棟で寝なくちゃならねえんだ…!」
「仕方ないよ、シド。レイシアちゃんは“姫”で、僕らは“従者”なんだから。」
ぼすん!とベッドに体を投げ出したシドに、窓辺に掛けていたランディが低く告げる。
どうやら、純血のヴァンパイアにとって“人間”というものは立場が低いらしい。種族間の格差を身をもって知っているランディは“慣れっこ”といった様子で紅茶をすすっているが、シドは貴族の城とは思えないほど硬いベッドの感触に思わず眉を寄せていた。
「…おい、その紅茶、どっから持ってきた。」
「ん?城のメイドさんに声をかけたら持ってきてくれたんだよ。シドも欲しい?」
「いらねえよ。…ったく。お前はすぐ女に手ぇ出しやがって…」
「あはは。出してないよー、まだ。」
おなじみの軟派発言にため息をつくシド。
ごろり、と寝返りを打った彼は、ランディに背を向けて目を細める。
穏やかな夜のはずなのに、どうしても心がざわつく。
「…昼間のこと、思い出してる?」
「あ…?」
「いや、シドって、レイシアちゃんのことを考えてる時、急に静かになるからさ。」
「!」