ヴァンパイア夜曲
ーーこれが、“神のお導き”なのでしょうか。
どうすることが正解なのでしょうか。
“俺は、“真実”を探してここへ来た。本部からの命を受けてな”
“…必ず、仇はとるよ。”
仲間たちの言葉がこだまする。
ーー彼らが目指す旅の終着点と、私の未来。二つを天秤にかけることはできない。
私が選ぶべき答えは、もう決まっていた。
「…!」
通行許可状を受け取る私。
目を見開くタンリオットは、やがて満足げに微笑んだ。
「さすがレイシア。話が早くて助かるよ。」
ぎゅっ、と、手のひらを握り締めた私。
後悔はない。
ーーしかし、“譲れないもの”がそこにあった。
「…タンリオット。あなたの妻になることに関して、お願いがあるの。」
「“お願い”…?」
「えぇ。…“私たちがローガスを討つまで”、結婚を待ってくれないかしら。」
はっ!とするタンリオット。
私は、畳み掛けるように続ける。
「…修道院を出てから今まで、私にずっとついてきてくれた仲間がいるの。私は、彼らの旅の終わりを見届けてから、何の思い残しもない状態でこの城に嫁ぎたい。」
「…!」
「それに、“兄”も、ローガスとのケリがつかなければ落ち着かないと思うわ。…その…、ノスフェラトゥの幹部ともなれば、仕事の合間を縫って結婚式に来ることさえも難しいと思うの。…両親がいない今、お兄ちゃんにだけは、花嫁姿を見てもらいたいから…」