ヴァンパイア夜曲
「…っ、ひゃっ…?!!!」
ちくり、とシドが触れたところに痛みが走る。
唇の感触に、ぞくり、と甘い震えが走った。
「…“縛っているつもりはない”、だ…?…ふざけんな…」
耳元で低く囁かれるセリフ。
怒っているようで、どこかもどかしげな声に、はっ、とする。
思考が止まった次の瞬間。やや乱暴に私の肩を掴んだシドが、綺麗な碧眼にまっすぐ私を映して言い放った。
「俺はもう、お前に血も心も奪われてんだ!俺だって、お前を欲しくなって当然だろ!」
「!」
至近距離で聞こえた、とんでもない爆弾。
この人は、言葉の意味を分かっているのか。
これじゃあ、まるで“告白”だ。
目の前の男は、本当に、あの“無愛想”で“素直じゃない”シドなのか?
色々吹っ切れたよう彼は、さらに碧の瞳に熱を宿す。
「…俺は、お前しか見てないのに…」
「っ!」
「ちょっとくらい、俺にもお前を独占させ……ろ″ッ?!!!!」
ドガッ!!!
勢いよくシドの胸を殴りつける。
これ以上聞いていたら身がもたない。
不意を突かれて倒れ込んだシドと予想外の展開に言葉を失うランディ。混乱状態に陥った私は、素早く部屋の扉を開けて叫んだ。
「で、出てって!!もう来ないで!!」