ヴァンパイア夜曲

「おい、聞いたか!」


「あぁ、ついに東の橋を渡ってきたってよ…!」


何やら騒がしい町民たちの噂話が聞こえてきた。

思わず聞き耳を立てていると、予想をはるかに超える言葉が耳に届く。


「スティグマの大群がこのベンタウンに現れたって…!」


身体中の血が凍ったように指先の感覚がなくなっていくような気がした。

さっと血の気が引き、硬直する。

スティグマの大群だって?人間しかいないこの土地に?まさか、血を求めてやって来たのだろうか。

農民が武装している理由がやっと分かった。

彼らは戦い慣れていないにも関わらず、スティグマに対抗するために武器を手にしたのだ。


(買い出しなんてしている場合じゃない。早く修道院に戻ってみんなに伝えなきゃ…!)


焦りが募ってミックの手を引こうとしたその時。向こうから駆けてきた青年が手を振りながら町の人々に声をかけた。


「みんなぁ、聞いてくれ!スティグマは北に逸れたってよ!この町には来ないみてえだ!」


思いもよらない朗報に、ほっと胸をなでおろす町民たち。

安堵して私とミックが目を合わせたその時。報をもたらした青年がさらに言葉を続けたのだ。


「あいつらは廃城に向かったってよお!なんかあるんだべかね…?」

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