ヴァンパイア夜曲
パァン!
意識が遠のきそうになったその時、一発の銃声が鳴り響いた。
はっと現実世界に引き戻される。
状況が飲み込めない中、痛みなど少しも感じていない私の代わりに倒れたのは、先ほどまで私の首筋に噛み付こうとしていたスティグマだった。
思わず目を疑った瞬間。城に響いたのは、聞き慣れた低く艶のある声だ。
「その女に触るな」
視界に映ったのは真っ黒のコートである。
すらりとした彼の手に握られているのは、銃口から煙の上る銀の拳銃だった。
(シ、ド……?)
ぼんやりと目が霞む。
しかし、彼の姿だけははっきりと見えた。
青年は標的を変えたように襲いかかるスティグマを一蹴りで吹っ飛ばし、トリガーを引いた長い指が容赦なくヴァンパイアを撃ち抜いていく。
断末魔の叫びをあげて灰になって消え去っていくスティグマ。
やがて、二十発目の銃声がした。
一つも外すことなく仕留めた青年は、息を切らすことなくそこに立っている。
ふっと倒れこむ私の体を支えた力強い腕は、他でもないシドのものだった。