ヴァンパイア夜曲
シドは、全てを語る覚悟をしたように私から視線をそらさず静かに言葉を紡ぐ。
「グリムリーパーはスティグマを始末して治安を守る組織。つまり、凶暴化したヴァンパイアを冥土に送る死神なんだ」
彼の言葉にはっとした。
ここで、やっと彼が黒づくめの制服を着ている意味に気がついた。
彼の黒い服は本当に喪服であり、彼なりのスティグマに対する誠意なのだと。
するとその時、私を見つめる彼の碧眼が動揺で見開かれた。
彼の碧眼に映った私はもう以前の私ではない。
ブロンドの髪にグレーであった私の瞳は濁りのない薔薇色に染まっている。さらに決定的であるのは鋭い牙。
感じたこともない衝動が私を突き動かそうとしていた。
それは、スティグマに襲われたからでも噛まれたからでもない。
シドが目を止めたのは、床に散らばったロザリオだった。
「まさか、これでヴァンパイアの血を封じ込めていたのか…?」