ヴァンパイア夜曲
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“…えさま、レイシアねえさま…”
遠くで私の名前を呼ぶミックの声がした。
まどろみの中、夢から覚めていくような感覚になる。
ふっと目を開けると、そこは見慣れた修道院だった。
私はかつて傷だらけのシドが寝かされていたベッドの上にいて、ベッドサイドには私に寄りかかるようにして寝ているミックがいる。
(私、廃城にいたはずじゃ…)
意識が飛んでからの記憶がない。
だが、胸にいつもさげていた金のロザリオは形もなく、やはり夢ではなかったのだと実感した。
はっとして窓を見ると、私の瞳は薄いグレーに戻っていた。しかし牙はそのままだ。
「起きたのかい、レイシア」
ギィと扉をあけて入ってきたのはマーゴットであった。
思わずびくりとして牙を隠すように口を閉ざすと、彼女は穏やかに私を見つめた。
「全てシドから聞いておる。体が平気ならこっちに来なさい。少し話をしよう」