ヴァンパイア夜曲
シャラッと私の首元のロザリオが音を立てた。胸元から滑り落ちた十字架のネックレスは、彼からすれば自分を縛る鎖のように見えたことだろう。
さぁ、もう抵抗できまい。
舌打ちをしたシドは、観念したように体の力を抜く。
しかし、私の胸に勝利の実感が湧いた次の瞬間、ガチャッと寝室の扉が音を立てた。
肩を揺らして振り向くと、そこには食事を運んできた仲間のシスターと、付き添いで来たらしい少年ミックがいる。
そして純粋な少年の目を素早く塞いでこちらを睨む老婆、我が修道院の女院長マーゴットの姿があった。
部屋の空気が一瞬にして凍りつく。
乱れた服装で青年を押し倒す私を見て、頰を赤らめ絶句したシスター。
視界を覆われ、きょとんとするミック。
何もいかがわしいことをしていないくせに思わず動揺してしまった私とシド。
最悪だ。一目見ただけで百の誤解を生む現場だろう。
反論しようとしたその時。沸点に達したマーゴットの怒りの雷が修道院中に轟いたのである。
「レイシア!何をしているんじゃ!!淑女であるべきシスターがはしたない!今すぐベッドから降りなさい!!」