ヴァンパイア夜曲
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「みっちり叱られたわ。…どうして私が…」
その日の午後。
懺悔室でくどくどとお説教を受け、朝ごはんを食べ損ねた私は、1人、沈んだ顔で廊下を歩いていた。
出会ったばかりの男と深い関係になるなやら、不埒な真似はするなやら、淑女の振る舞いはどうあるべきかやら…昔から耳にタコが出来るほど聞いてきた呪文に疲れ果てる。
シスターとしての心得を説いたマーゴットから反省文の提出と1週間の雑巾掛けを命じられるなんて、さすがに酷すぎるだろう。
私はただ、怪我人の彼を逃すまいとしていただけなのに。
とぼとぼと歩いていると、庭の方から、なにやらきゃっきゃとはしゃぐ子どもたちの声が聞こえてくる。
誘われるように柱の陰からのぞいて見ると、そこには雪で遊ぶ修道院の子どもたちと、私がお叱りを受ける元凶となった青年の姿があった。
「シドさん!一緒に池でスケートしよー!」
「ねえねえ!雪山作ってよー!ソリであそぼー!」
どうやら、あまりお目にかかれない客人に興味津々な子どもたちが群がっているようだ。彼は相変わらず無愛想でクールな顔をしているが、今にも抱きつかれてよじ登られそうな勢いである。
容赦ない子どもたちに、私は思わず駆け寄った。
「こらこら、みんな。その人怪我してるのよ」