365日のラブストーリー
 神長は腕時計に目をやった。有紗もテーブルの下で時計を確認したが、いつの間にかずいぶんと時間が経っていたようだった。

「そろそろ行きましょうか」
 神長が席を立った。

「あの、お会計なんですけれど」

 有紗は小声で呼び止める。こういった場所で自分が払おうとするのはマナー違反かもしれないが、今日は何が何でも払うのだと決めていた。けれども神長は「もう済んでいます」と有紗を外へ促した。

 ここにいてからずっと一緒にいたというのに、一体いつそんな時間があっただろう。驚きながらも食事の礼をきちんと告げて、頭を下げた。

 車に着くと、封筒に入れて用意してきた二万円を神長に渡した。感謝の気持ちを書いた一筆箋も中にしまってある。

 これを用意するときには、コンビニ代を入れるかどうかも散々悩んだあげくにRenに相談した。

『好意を撥ねのけたようにかんじさせることもある』と言われてしまい断念したが、代わりに手紙を添えてみたらどうかというアドバイスをそのまま取り入れてみた。
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