365日のラブストーリー
「方向が違えば、思い慕うほどに苦しくなるのかもしれませんが、根底に同じ熱があるのなら、それを悲恋と呼びたくないような気がします。愛情の貫き方もそれぞれですから」

「ああ……。そっか。それによく考えたらあの二人の場合だと、もし結婚して一緒に暮らしたとして、幸せになれたかどうかわからないですよね。

あれがいちばんいい形だったなんて思ったらかわいそうですけれど、いっときの心の繋がりが、一生を満たすことができるほどの深さだったかもしれないですし。添い遂げるだけが絶対じゃないし……答えはあの二人にしかわからないのかも」

「そうかもしれません。面白いですよね、本をどう読むかというのも」

「わたし、久しぶりに人と本の話をしたんですけれど。やっぱり不思議です」
「ん?」

「朝ごはんの時も言いましたが、神長さんと一緒にいると、話していること全部がこれまでわたしが考えもしなかったことばっかりで」

「いい加減疲れてきましたか?」
 神長が苦笑する。
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