365日のラブストーリー
内容を思い返しながら、有紗は胸の前で手を合わせた。熱烈な三島由紀夫ファンではなかったが、春の雪への思い入れは強い。これまで何度も読み返してきた大切な一冊だ。
「わたし、読もうと思って何年も前に続きを買ったんですけれど、まだ読んでいないんです。いつかは読まなきゃ、って思っているんですけれど。清顕と聡子の物語をずっと見ていたいというか、まだあの世界にいたいのかもしれないって言ったら、ちょっと変ですけど。悲しいお話なのに」
「あれは、悲恋ものだと思いますか?」
「え……?」
尋ねられて、有紗は首を傾げた。
心のすれ違いから相手に気持ちがないのだと勘違いしてしまい、他の男との結婚話が進んでいく。離れてから恋心を募らせて逢瀬を繰り返すが、結ばれることないままに結末を迎える。そんなストーリーだったはずだ。
「そんな風にも言われますけれど、どうでしょう。神長さんはどう思いますか?」
有紗は質問をそのまま返してみた。
「わたし、読もうと思って何年も前に続きを買ったんですけれど、まだ読んでいないんです。いつかは読まなきゃ、って思っているんですけれど。清顕と聡子の物語をずっと見ていたいというか、まだあの世界にいたいのかもしれないって言ったら、ちょっと変ですけど。悲しいお話なのに」
「あれは、悲恋ものだと思いますか?」
「え……?」
尋ねられて、有紗は首を傾げた。
心のすれ違いから相手に気持ちがないのだと勘違いしてしまい、他の男との結婚話が進んでいく。離れてから恋心を募らせて逢瀬を繰り返すが、結ばれることないままに結末を迎える。そんなストーリーだったはずだ。
「そんな風にも言われますけれど、どうでしょう。神長さんはどう思いますか?」
有紗は質問をそのまま返してみた。