365日のラブストーリー
 スカートを揺らす風がおさまってから、神長は手を離した。

「すみません」
「いえ、わたしこそ不注意ですみません。話に夢中で周りも気にしないで」
 有紗は頭を下げた。

(神長さんにも楽しんでほしいのに、わたしはいつも気を遣わせてばっかり)

一緒にいても、気分転換どころか迷惑ばかりかけてしまう自分が悲しくて、気持ちが落ち込みそうになる。そのまま顔を上げることもできずにいると、頭の上にぽんと手のひらが乗った。

「へ?」
 有紗は思わず神長を見上げた。瞳を潤ませていた雫が頬をゆっくりと滑り落ちる。

「……頭の形がよかったので、つい」
「ええ?」

 有紗は右手で自分の頭を押さえた。そういえば子どもの頃、美容院へ行ったときに絶壁じゃないねと驚かれたが、もしかしたらそのことだろうか。困惑していると、

「何でもないです、今のは忘れてください」
 不意打ちでふわりと包み込むような笑顔を見せられて、有紗の胸が高鳴った。
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