365日のラブストーリー
 思い返せば、これまで回ってきた西洋館の調度品は、アンティーク風のデザインだが長年放置されているだけというような雰囲気ではなかった。何度も修理を重ねて大切に扱われてきたものなのだろう。

「わたし、テーブルも椅子もない時代って、もっとずっと昔かと思ってました」
「そうよね、あなたが生まれた頃にはもう、テーブルと椅子があるのが当たり前だったものね」

 真剣に話を聞いていたグレイヘアの婦人が、有紗に微笑みかけてきた。

「今は自分で組み立てて作るような安い家具がたくさんで、それが当たり前になってて。壊れたら粗大ゴミに出して、また新しいものを買って、とか。家具って職人さんが作るものだったんだなって、あらためて感じたというか」

 有紗の言葉に、そこにいた全員が共感するように頷いた。
 神長から横浜家具の特徴を聞きながら、有紗はあらためて調度品に目を向ける。
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