365日のラブストーリー
 頭を仕事に切り替えようとしていると、見覚えのある後ろ姿がそこにあって、有紗の足が止まった。千晃だ。
 ついさっきまで話題にしていたその人がそこにいると、何を話したらいいのかわからなくなる。

「おつかれさま、森住さんも今日外出てたんだ」
 宇美は何事もなかったかのように、千晃に話しかけた。

「あ、おつかれさまです。ミント買いに……でただけっすけど」
 離れた場所で立ちすくんでいる有紗の姿を認めて、千晃が会釈した。

「おつかれさまです」形どおりの挨拶を交わして、有紗がその場をやりすごそうとすると、
「突然ですけど、森住さんって今度の金曜日の夜空いてます?」宇美が突然とんでもないことを言い出した。

「え、なんすか」
 千晃は驚いたように顔を上げた。

「今度の金曜日にさ、神長さんとか坂巻くんあたりを誘って飲みに行こうかと思うんだけど、よかったらどう?」
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