365日のラブストーリー
「それじゃ、二軒目行くか。はい、みんな移動の準備して」

 宇美は立ち上がってコートを羽織った。受け取ったおつりをそのままポケットの中に押し込んで、隣のテーブルの男たちを外へと促した。すっかり意気投合しているようだ。

 有紗がとりあえず神長と一緒に店の外に出ると「それじゃあね」と宇美が手を振ってきた。

「え、これから二軒目行くんじゃないんですか?」
 有紗は宇美の腕を掴んだ。

「行くよ? 彼らと五人でね。七人なんて大人数でバーなんて入れるわけないじゃないの。綿貫と神長さんは二人で二次会どうぞ」

「そんな。ちょっと、宇美さんっ」
 縋りつくと、宇美は真顔で耳打ちしてきた。

「彼らこの辺り住んでるんだってさ。さらに、いまの仕事は英会話教室の講師。いい人材だと思わない?」
 唖然とする有紗の背中をぱしんと叩いて、宇美は笑った。
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