365日のラブストーリー
「今起きたんでしょ。どこ? 家? それともどこか別の場所?」

 別の場所とはいったいどこのことだろう。尋ねたい気持ちもあったが「家です」とつぶやく。

「なんかさあ、そうなるんじゃないかと思ってたんだよな。神長さん酒強いし。人に勧めたりはしなくてもさ、有紗ちゃんが勝手に付き合って潰れるんじゃないかって」

「ほんとうにごめんなさい。森住さん今、どこに居るんですか?」
「船の科学館」

「すぐ支度して行きます。近くに着いたらすぐ連絡を――」

「いいよ、もう来なくていい。二日酔いのまま来られても困るし、有紗ちゃんが着く頃には俺らももう帰ってるっつーの。それとも、俺と心暖に建物の前で待ってろってこと?」

 軽い笑い声が聞こえてくるが、その声は冷たい。どう反応したら良いのかわからずに、スマートフォンを握りしめたまま黙り込んでいると、

「ごめん、今のは言い過ぎた。わかってるから、上司からの飲みの誘いで断れなかったとか、そういうのも。とにかく、もう今日はいいよ」

 千晃は声をあらためて、ため息交じりに言った。
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