365日のラブストーリー
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 日曜日のデートは千晃の家からバスで十五分ほどの場所にある、熱帯環境植物園だった。ミニ水族館を併設したこぢんまりとした地域施設は、子どもが自分の足で歩くにもちょうど良い広さだ。

 熱帯植物が植えられた温室を通り抜けながら、むき出しになった直線的な木の根が特徴的なタコノキの観察をする。

実家に置いてあった鉢植えのトックリヤシの成長した姿に感動しつつ、筆で模様を描いたようにも見える、迷彩柄のアグラオネマで足を止めた。

 フロアを移動してからは、水面下の大草原といった雰囲気の、水草がメインに置かれた巨大水槽に、心暖は釘付けになっている。有紗は幼い手を握ったまま、ゆらめく水草のあいだに隠れる熱帯魚を探していた。

「ほら、ここにもいたよ、心暖ちゃん」
「ほんとだぁ」

 頬を紅潮させる無邪気な姿を見ていると、微笑ましい気持ちになってくる。

「ここにもいたよ」

 今度は心暖が、水草の影から顔を出す熱帯魚を見つける。水槽のガラスに反射して、口元を緩める千晃の姿が見えている。
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