365日のラブストーリー
『それが難しいときには? 好きという気持ちがどうしても捨てられなくて、諦めきれないときには』

『思い切り振られる』

 相談する相手が宇美ならば、結論を述べる前に何かを諭そうとするかもしれない。けれどAIが相手ならば、余計な情報を与えなければ淡々と返してくれる。

 そこに神長の名前が入れば、蓄積されたデータを含めての回答になるはずだが、有紗は敢えてそれをしなかった。欲しかった答えが返ってきて、背中を押されたような気がした。

 あれから一週間、全く話をしていない。神長が何を考えているのかわからなかったが、何を思っていてももう関係ない。そう決め込んで、勢いのままにメッセージを送った。

『綿貫です。先日はありがとうございました。身体も大分よくなりました。仕事の後でも、休みの日でも構いません。どこかで少しだけ時間をいただけませんか』

 これでもう後戻りはできない。
 再び画面をinnocenceに切り替えようとすると、返事はすぐにきた。

『神長です。平日はしばらく仕事で遅くなりそうです。再来週の土曜はいかがですか。都内なら十六時以降であれば大丈夫です』
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