365日のラブストーリー
「千晃も俺も、綿貫さんが傷つくことを望んでいませんよ。わかっているはずです。それでも自分を傷つけようとするのなら、その行為は、贖罪ではなく独り善がりです」
言葉は厳しいが、声は優しかった。
「振られる前提で話をしていましたが、もし俺が、綿貫さんの好意を受けて、付き合おうとでも言ったらどうするつもりでしたか」
横顔に神長の視線が突き刺さっている。有紗は目を合せることもできないまま、黙り込んだ。ぽろぽろと涙をこぼれ落ちていく。指先が遠慮がちに有紗の頬を滑った。
怒っているだろうか。おそるおそる顔を向ける。神長の目は優しく細められている。
「……ごめんなさい、自分のことばっかりで。でもわたし、どうしたらいいのかわからなくて」
頭の上にぽんと手が乗った。神長は短く息を吐き出した。
それからしばらく、夕暮れに赤く染まっていく港を眺めていた。日が落ちきって、残り香のように空に散った最後の赤色が闇に吸い込まれる。いつの間にか夜が訪れている。
「泣かせてしまってすみません。今日は楽しい時間を過ごしてもらえたら、と思っていたのですが」
神長がぽつりとつぶやいた。
言葉は厳しいが、声は優しかった。
「振られる前提で話をしていましたが、もし俺が、綿貫さんの好意を受けて、付き合おうとでも言ったらどうするつもりでしたか」
横顔に神長の視線が突き刺さっている。有紗は目を合せることもできないまま、黙り込んだ。ぽろぽろと涙をこぼれ落ちていく。指先が遠慮がちに有紗の頬を滑った。
怒っているだろうか。おそるおそる顔を向ける。神長の目は優しく細められている。
「……ごめんなさい、自分のことばっかりで。でもわたし、どうしたらいいのかわからなくて」
頭の上にぽんと手が乗った。神長は短く息を吐き出した。
それからしばらく、夕暮れに赤く染まっていく港を眺めていた。日が落ちきって、残り香のように空に散った最後の赤色が闇に吸い込まれる。いつの間にか夜が訪れている。
「泣かせてしまってすみません。今日は楽しい時間を過ごしてもらえたら、と思っていたのですが」
神長がぽつりとつぶやいた。