365日のラブストーリー
「誰がそれを迷惑だと言いましたか」

「えっ、だってどうでも良い人からつきまとわれたら絶対に鬱陶しいし、でも神長さんは突き放したりできな」
 突然顎を持ち上げられて、有紗は言葉を飲み込んだ。

「少し落ち着いて思い出してみてください。俺は綿貫さんにつきまとわれた記憶はないですし、誘うのはいつも俺です」

「あ……」
 そういえば、朝食の誘い、そのあとの元町散歩は神長からだ。先日の飲み会は宇美からの誘いで参加したことになっているが、バルでも行きますか、と声を掛けてくれたのも彼からで、その翌日も夕食に誘われている。

「……たしかにそうですね。あれ?」
 神長は有紗から手を離し、港の景色に目を向けた。

「大分日が傾いてきました」
 有紗は頷いた。柵を両手で掴んで、心を落ち着けようとゆっくり息を吐き出す。
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