365日のラブストーリー
「とんでもない。そんなこと考えたこともないです。わたしはただ、今日はどこか行きたいなって思ったときに思い出してもらえて、美味しいものとか一緒に食べられたら嬉しいなあって……」

「俺も綿貫さんと一緒にまたどこかに行きたいなと思っています。でも、それは友人のままでもできますよね」

 そう言われてしまっては返す言葉もない。神長のことを友人以上に想う気持ちはあるのに、説明しようとするほど的が外れていく。

 肉体関係がなくても恋人になることはできるはずだ。けれど何のために恋人になりたいのかと問われればわからない。

神長の行動を制限したいわけでもなければ、無理矢理にでも自分だけを見ていて欲しいわけでもない。恋人とは、恋愛感情とは一体何だろう? 有紗は内心首を傾げる。

「今、綿貫さんがどんなことを考えているのかよくわかります」
「はい……」

「その葛藤は、俺と綿貫さんの関係が、恋人か友人かで線引きしようとするから出てくるものです。こんなことをわざわざ言う理由は、傷つくのが綿貫さんだからですよ」

 神長が顔を覗き込んできた。
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