365日のラブストーリー
「そういえば土曜日、どうしましょうか」
 有紗は自分から話題を変えてみた。

「綿貫さんはどこか行きたいところはありますか」
「わたしは、神長さんと一緒だったらどこでも」

 好意をアピールしてみたが「そうですか」と、さらりと流して神長は視線を斜め上に向ける。
「実は退社したらしばらく旅行に行こうか考えています。有給消化があるので、いちおう来週からですが」

「えっ、じゃあ今度の土曜日に会ったら、そこからしばらく会えないっていうことですか。どのくらい行くんですか?」
「一、二か月。まだはっきりとは決めていませんが。だからまあ……、土曜日はゆっくりできる場所がいいですね」

「そっか。そうですね、そのあとまたすぐに旅行になってしまうと、神長さん疲れちゃいますもんね」
「いや、そういう意味ではなく」

「え?」
「飲みますか。泡が消える前に」

 神長は笑いを堪えながらグラスを持ち上げた。とりあえず乾杯して、有紗はビールを喉に流し込んだ。
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