365日のラブストーリー
 着痩せセオリーに乗っ取って首回りをすっきり出してみたつもりが、見苦しくなっていただろうか。有紗がバッグから冷房対策で持ってきたノーカラージャケットを引っ張り出すと、千晃は首を横に振った。

「さっきから男の目が」
「男?」
 有紗はあたりを見回した。

「通りすがるときに、胸元に釘付けになってる。ワンピースずりおろして揉んでヤりてえ、みたいに。今は俺がいるからいいけど、一人だったらちょっと危ない」

「すみません」
 慌ててジャケットを羽織り、有紗は頭を下げた。

「……有紗ちゃんは基本的に無自覚だから、あとで恋人の方に言っとくか」
 きっと恋人というのは神長のことだろう。違うと言えばややこしくなりそうで、有紗はそれを受け流した。

 やがて店内に案内され、三人で窓際の席に座った。心暖はメニューを見ながら、どれにしようかと有紗に相談をし始めた。
 付き合っていた頃よりも、二人と自然に向き合えている気がする。
< 402 / 489 >

この作品をシェア

pagetop