365日のラブストーリー
「これにする」
 心暖はいちごがたっぷり乗ったパンケーキを指した。有紗も同じものを狙っていたが、敢えて違うフルーツの乗ったものにした。シェアすれば美味しさも二倍だ。

 千晃がジェスチャーを交えた片言の英語でオーダーをして、あとは食事を待つだけになった。

「ありがとう、有紗ちゃん」
 かしこまったようすで千晃は頭を下げてきた。心暖は不思議そうに、隣に座る千晃の顔を覗き込んでいる。

「こちらこそありがとうございます」
 一度は関係を築くことに失敗してしまった人たちを前にして、以前よりも優しい気持ちでいられることが、有紗は不思議だった。 

(わたしには、周りの人を変える力はないけれど。もしかしたらわたし自身が変わることで、世界はまったく別のものに見えるのかもしれない)

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