365日のラブストーリー
3

『綿貫さん、OKだった。ありがとう』

 ショッピングモールでサンダルを物色していると、坂巻から短いメッセージが送られてきた。有紗は思わず「よかったあ」と喜びを声に出していた。余計なことをしてしまったかもしれないと、落ち込んだ日々も報われる。

 大きすぎるひとり言に、店員の女性が笑顔を向けてきた。有紗は恥ずかしくなって店を出た。 
 午後一時。今まだ坂巻は神長と話をしている最中だろうか。プライベートでも相当仲が良かったから、積もる話もあるだろう。

 何も言わなければ神長は、約束の時間までには話を切り上げて、迎えに来てくれるはずだが、せっかく気持ちが通じ合った二人を引き離すのは気が引けた。

 千晃の情報によると、坂巻は今日神長と会って話をし、翌日の午後便で帰国するらしい。
神長の気持ちはどうだろう。せっかく会えた坂巻が、たった二時間でいなくなってしまったら、寂しい思いをするに違いない。神長の心を揺らすほど、大切な人なのだ。

 有紗は夜のデートを心待ちにする気持ちを抑え込んで、坂巻に返信した。
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